乗車前から
「ジリリリリリリ!」
ホームに電鈴が響く。電子音ではない。物理的に鉄製の鐘を叩いている音がする。それだけで私の肌の毛穴がキュッと閉まる。「ウキョーッ!」と叫びたくなるが、良識ある大人としてそれはしない。その代わり心の中でありったけの声を上げる。
果たして日本の駅で電鈴を耳にしたのはいつのことだろうか。幼き日に聞いたことがあるような気がするが、いつどこでのことなのか思い出すことができない。昔の映像と私の現実とを混同している可能性もある。
いずれにせよ、現在私が利用する鉄道のホームでは電鈴はおろか電子音のブザーも聞くことがない。どこもシンセサイザーによって奏でられるメロディー付きの音楽になった。
ここは台鉄台北駅の南行きホーム。「ジリリリ」の電鈴は列車の入線を告げるものだった。ホームには台鉄の職員が東側を向いて立っている。ここは地下駅であるが列車が来る方向を考えると東であるに違いない。
列車接近音が徐々に大きくなり暗闇の先に灯りが見える。そのライトの中から徐々に列車の輪郭が現れてくる。
「E500型機関車だ!」
鳥肌に加えてアドレナリンが血中を駆け巡る。
5年ほど前、鉄道オタクとして信じられないニュースを耳にした。東芝が台鉄から大量の電気機関車を受注したというものだった。
「電気機関車?電車の間違いでは?」
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